東庵の白梅2019

陰暦の1月、2月、3月を三春という。初春、仲春、晩春の総称であるとか。福島県の三春町の桜は有名だが、梅の花と、桃の花、そして桜の花が同時に観られることから、その名が付いたとも言われている。

東庵の玄関先には白梅が一本植えてある。29年前の創建当初は孟宗竹を植えてみた。しかし、竹類は植木には難しく枯れてしまった。次に紅葉を植えてみた。これも根が着かなかった。三度目がこの白梅である。どうやら今のところ、毎年の2月末には開花し、三月初旬には満開になる。

京都の北野天満宮では毎年、菅原道真公の命日にあたる2月25日に梅花祭が行われ、舞妓さんによる野点にも魅力を感じる。東庵では梅花祭とはいかないが、日頃剪定をさぼっていることから、この時期には久しぶりに枝にハサミを入れて、室内に持ち帰る。

切った枝は、特別整えずに、切ったまんまを壺に活け、水を張るだけが東庵流。壺の中には秘密の仕掛けが、笠間で買った生花用の焼き物が一つ。とりあえずリビングルームに飾ってみた。

そして、夜は寝室に移動。驚かされたのは、その香りの強さである。白梅香というと、最近では漫画から実写でもヒットした「るろうに剣心」で有名になったが。その前に「鬼平犯科帳」の第5話「暗剣白梅香」がある。

親の仇を追って浪々の旅を続け、江戸に流されてきたイケメンの凄腕剣士金子半四郎が、闇の世界から鬼平暗殺の依頼を引き受ける。何度も人を切っている半四郎は、その都度血の匂いを消すために「浪花や」で販売されている「白梅香」を体に塗っている。鬼平暗殺は失敗するが、その香りが手掛かりとなってゆく。というストーリーだが、作者の池波正太郎は時代考証にも優れていて、すでに江戸時代に「白梅香」という香水が売られていたことも突止めている。

寝室の「白梅香」は、12畳の洋室を一瞬で、いい香りのするベッドルームにしてしまった。室内に飾られた枝ぶりを観て、元の親樹の葉張りを想像する。ヘッドボードの収納の上にも、枝を切った時にこぼれた花と蕾を小皿にとり、水に漬けておいた。そのおかげで、3、4日はいい香りに包まれて寝起きすることができた。

小皿の蕾も、三日後には、全部咲いていた。

梅切らぬ馬鹿という通りの「東庵の白梅」ではあるが、こうしてみると伸び伸びと枝を放ち、多くの花を付けた勢いさえ感じられた今春である。

今年の冬はことのほか冷える日が多い。リビングの薪ストーブも焚きっぱなしだ。

薪ストーブにしたのは、東庵の新築と同時。竣工は1990年だから、今年で28年目に入る。
もっとも、ストーブ本体は初代のスウェーデン製が20年経って、2代目のニュージーランド製に取り替えられた。形はシンプルな角形で似ているけど。新しいものは、クッキング機能が色々付いていて、ストーブ料理も楽しめるのが気に入った。

燃料を木材に頼るのは、日本では古代からの生活に始まるけれけど。江戸時代の浮世絵などを見ると、景色の中ではほとんど禿山で、現在のように木の繁った森林は見かけない。それもそのはずで、燃えやすい木と紙で出来た建築の火災による建築資材の供給にいとまがなかった。それに加えて、燃料のほとんどを「薪」に頼った生活のすえの禿げ山化であったようだ。時代劇で、囲炉裏に暖をとったり、釜戸での煮炊きをしたり、風呂を炊いたり、全てに薪が燃料として使われている。江戸時代、貧乏な暮らしの物語では、厳しい冬を乗り越える薪が手に入らず、苦労する話にも出会う。「燃やす薪も無くなってしまった」という台詞は、なんと身体も冷える言葉だろう。

人ごとではなく、我が家の冬のメイン暖房である薪ストーブ。その薪が不足している。実は大変だ。どうにかしなくてはならない。かなり深刻な問題として悩んでいた。そんな時、持つべきものは近くにいる知人である。親類の家の庭の整備に伴って、槙の木を切ったので短く揃えたら薪になるかなと。

願ってもないことで、長さ30cmiにしてもらい、届けてくれた。そうしたらなんと軽トラック4杯分もあって、おまけに古い家屋を解体した古材もいただいた。

燃やしてみると、伐採したばかりの幹や枝では、素材の持つ含水率が高く燃えにくい。しかし材木になってから何10年も経っている古材は燃えやすく、両方を混ぜて使うのが賢い方法だと気づくのに時間はかからなかった。

この冬の燃料が欲しいと願っていた者への神様のプレゼントとしてしか思えない。感謝、感謝です。ありがとうございます。

ヤワタホームのオーガニックハウス

「10月14日 成田初! オーガニックハウス見学会に向けてオープンに向けて準備中です。期間限定となりますのでお見逃しなく。」

という事でスタートしたヤワタホームのオープンハウス。マイホームを検討中の方も、これから計画したい方も、この際に是非見学をして欲しいと思います。

今から40年前、当時桑沢デザイン研究所のインテリア住宅研究科に学んでいた頃、世紀の二代巨匠、コロビジェとライトにかける憧れは、学生の設計思想に掛ける大きな想いであった。

20代の私自身コルビジェに傾倒していたのだが、不思議な事に、卒業して社会に出てから段々と年をとり、色々な事物に触れて来た今となっては、ライトのデザイン思想に共鳴する事が増幅して来た。

1960年代にデザインを学ぶものとして、より人為的なフォルムや人工的な解決策に価値を委ねようとする時代の風潮があった。それが、年をとるごとに「自然とは人工とは何だろう」という永遠のテーマと共に、日本人の自然に寄り添う生き方に同調してきている自分がいた。

フフランク・ロイド・ライトは、日本の建築史にも深く関わりがあるアメリカの建築家である。ライトは、来日して、帝国ホテルや自由学園など幾つかの作品を残しているが、日本人の自然観にその価値を見出していたのだろう。建築家の隈研吾さんも、建築とは大地に生えている植物の様なものと、ライトと隈さんご自身のアイデンティティーを話しておられた。

オーガニックハウスは、ライトの設計思想を受け継いだアメリカの後継者たちの作品を、財団が管理し、それを委託されたオーガニックハウスとヤワタホームが提携して、成田には初めてのオープンハウスが完成された。

私も、幾ばくかの協力をしたが、ヤワタホームが今までやって来た「いやしろの家」に新しい住宅デザインが加味して。提案したのは、「デザイン✖️健康住宅」である。新しいブランドとして定着して欲しい。

 

 

梅切らぬバカ

今年も、東庵の白梅が満開を迎えた。

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桜切るバカ、梅切らぬバカとセオリーはあるものの。
剪定に関しては、実にイーかげんなやり方で、手の届く範囲のみ、
暇に任せてハサミを入れる。したがって軒先きより上部は、小枝も伸ばし放題。
花芽も付き放題だ。見方によっては伸び伸びと自由な感じもする。

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最大の手入れとしては、花も落ちて新芽が出始める頃、蛾の産みつけた卵を見つけ出し、幼虫に成り掛けた段階で駆除する事。一本の梅の木で決まって2箇所。100匹くらいの巣を見つけ出す事は特技になった。

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歌舞伎の娘道成寺の文句に
「梅とさんさん桜とは いずれが兄やら弟やら わきて云われぬ花の色」
世間では、桜より先に咲く梅が兄とされている様で。

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残念ながら、今日の暖かさと春一番の強風で、かなり散ってしまった様だ。

今年のお正月は千両

昨年の暮れに偶然、ヤワタホームの会長に出会って、
久しぶりな積もる話と、そのままご自宅に。

約1時間半ほどお邪魔して、帰り際に奥様から、頂き物のお裾分けで、沢山のセンリョウを頂いた。IMG_5634

おかげで、普段は花も飾らない正月の東庵にも、華やかな空気が流れた。IMG_5636

江戸時代に、それまで仙寥花(センリョウカ)と呼ばれていたのを、縁起をかつぐ意味を込めて千両になったと。IMG_5598

風水でも、この赤い実は幸運のシンボルとされ、物事が「実を結ぶ」縁起物と。黄色い実は金運か。IMG_5597

今年は、何かいいことがありそうな予感。

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このブログを覗いてくれた皆さんにも、幸運のお裾分け。
いい年に成りますように。

草刈り2016

今年も草刈りの時期になった。Image 2016-05-07 at 14.51

春を過ぎて、いきなり初夏の今年の気候。
ストーブの薪割りも暖房も必要なくなった代わりに、蚊や蠅をはじめとした虫の季節でもある。

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ちょっと油断をすると、庭や土手の草は伸び放題。背が伸びて、花を咲かせ、やがて種をつける。そうなってからでは、草刈りは手遅れになる。Image 2016-05-07 at 14.50 ここは連休だといえども、田舎は田んぼの田植えに農家は余念がない。こちらも働くとするか。Image 2016-05-07 at 14.51 (1) まずは、土手の草刈りから始める。そして玄関のアプローチ。Image 2016-05-07 at 14.50 (2) 次に東南の庭。次が東北の池のきわ。そして北西の庭。という順序で、全部を刈り込むのには、四日はかかる。なにせ一人でやっていることだから。Image 2016-05-07 at 14.50 (1) とりあえず、今回は土手だけ刈ってみることに。根をつめてやり遂げるのは、どうも相に合わない。ストレスを溜めるのは苦手だから。Image 2016-05-07 at 14.51 (3) 近くの雲井岬では、ツツジが満開だ。い〜季節になった。

東庵和室の照明器具の張り替え

9月1日。夏休みも終わった。アメリカでは9月は新学期、新しい気分で学校にも通い始める。セプテンバーソングのメロディーと詩のとおり。
この夏休みにやったこと。そう、夏休みの工作。わが家では和室の照明器具の張り替え。東庵では建設当時から26年、掃除はしたものの張り替えはしていない。
外してみると。Exif_JPEG_PICTURE

想像以上に凄かった。Exif_JPEG_PICTURE

ホコリは溜まり放題。ダイソンで吸い取る。Exif_JPEG_PICTURE

本体の紙は剥がれ。変色もしている。Exif_JPEG_PICTURE

まずは、紙をはがし。骨だけにする。Exif_JPEG_PICTURE

浴室でシャワーをかけ、木部を洗う。Exif_JPEG_PICTURE

奇麗になった。Exif_JPEG_PICTURE

よく視ると、木部はウズクリになっていた。Exif_JPEG_PICTURE

張り替えの紙を準備。障子紙を型に沿って切り取る。Exif_JPEG_PICTURE

最初に、下の部分を貼る。Exif_JPEG_PICTURE

次に上部を貼る。

出来た。

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トップの板を組み合わせる。これで完成。

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照明として取り付けてみると。Exif_JPEG_PICTURE

いつもより、約2倍の明るさ。

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やって良かった。
夏休みの宿題。達成感。

木製のブラインド

横型のブラインドをベネシャンブラインドという。イタリアのベニス地方の窓から発達したと言われている。

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東庵では、寝室の一部の窓と洗面脱衣室を木製ブラインドにしている。もう26年目を迎えるが、今だに使っている。RIMG062520150720092356

近づいてよく視ると、細かいチリやゴミが沢山付いていて、以前クリーニングをしたのが1年以上前だったのを思い出した。RIMG063120150720092439

早速、ダイソンのブラインド用のアタッチメントを付けて、一枚擦ってみた。
かなり奇麗に取れた。RIMG063820150720092520

続いて全部の羽根の表と裏もかけてみる。
ホコリはすっかり取れた。RIMG064120150720092642

さらに、ぬれ雑巾で拭いてみる。
見違えるように、艶さえ出て来た。RIMG064920150720092719

これで、網戸ごしに入って来る風も、心地よく感じる。
やはり、掃除とは大切な日常の行事である。

霧の東庵

千葉県の北東部。利根川沿いを佐原から銚子に向かって丁度真ん中あたり。東庵のある東庄町石出は、この時期の早朝、霧の名所となる。

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視界は箱根の伊豆スカイラインと同じ、濃霧注意報。通勤時間帯には晴れて問題はなくなる。

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霧は、細かい水滴である。
植物の葉っぱや茎にある羽毛の先には、小さな水滴が集って、まるで宝石の様な輝きを見せてくれる。

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デジカメを持って近くの植物の風景を撮りに散歩。

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散歩には、どこまでも付いて来る外飼いのシマネコ。

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今年も梅雨が来た。

2015初夏

急に暑くなった気がする。

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山椒は実をつけ、青々と葉を繁らせている。

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外飼いのしま猫ミロクも、プリウスの上から庭の木陰に移動。

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そして、東庵の月観台は秋冬布団の干場と変わる。

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庭すみのジャスミンの香りが風に乗って網戸をくぐり抜け、日陰の室内で昼寝をする鼻先に季節を告げる。
ああ、今年も初夏になったのだなぁ…。。